S.L.A.C.K 「東京23時 Feat. SEEDA / KOJOE」のコード進行
今回はS.L.A.C.K (5lack) の「東京23時 Feat. SEEDA / KOJOE」のコード進行を分析したいと思います。載せているコードは耳コピです。
なあマイメン、今日のこの街が いつもに増して、鮮やかに見えるなら。
S.L.A.C.Kの『我時想う愛』(2011年)の3曲目に収録されています。
フィーチャリングで SEEDA と KOJOE も参加。
「東京23時」のコード進行
[Verse,Chorusすべて]
| A△7 | E△7/G# | F#m | E |(繰り返し)
コード進行の分析
それでは中身を見ていきます。
このブログでは初の日本語ラップの分析ですが、USのラッパーとの差異はあるのでしょうか?
まず、この曲のキーですが、これはわかりやすいですね。Eメジャーです。
2小節目をオンコード、E△7の転回形で表記しましたが、構成音はG#m(b13)と同じですので、G#mと考えてしまって問題ないです。
つまりディグリーで表記すると、
| IV△7 | IIIm | IIm | I |
ということになります。
わかりやすく言えば、Eメジャーダイアトニックの環境内をIV→III→II→I と、ファミレドと降りていっているだけということですね。
ファミレドと降りるだけ。
こうしてコード理論的にいってしまうとなんてことのないように思えます。
実際こうゆうコード進行だとそれで説明終わり、みたいにされてしまうことも多いです。
でも、それでは、この零れ落ちるリリシズムをどう説明したらよいのでしょうか?
この魔力はすべてコード進行以外の力、例えば音色やリズムなどの力によるものなのでしょうか?
ファミレドのちから
実はこの IV→III→II→I の進行、独特の切なさと暖かさみたいなものがあり、昔からR&Bなどによく見られる進行でした。
例えば Minnie Riperton「Lovin' you」や、
Alicia Keys「If I Ain't Got You」(イントロ、サビの部分)
など。
つまりこのファミレド進行は、それ自体でひとつのテンプレとして機能し得るコード進行であるといえるでしょう。
実際、どれもいい感じの空気感をまとっているように感じませんか?
もちろん同じコード進行であるといっても、ヴォイシングやアレンジ、メロディやリズムなどが異なるのでそれぞれ独自の世界観を持っていますが、でも似ている部分もありますよね。
まとめ
今回は「東京23時」のコード進行を分析することにより、この曲は唯一人独立しているのではなく、そこには他の音楽とも共通したロジックが存在していることがわかりました。
こうしてコード進行という視点から音楽同士を紐づけ、掘り返していくのも楽しいことですよね。
もちろん、コード進行がわかったからといって、その音楽の1%でも理解したことにはならないかもしれませんが。